2005年04月05日
青池保子「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」……とこっそり一発芸。
マガジンハウスより出版。
マンガではなく、作者自身の手になるエッセイ。
本屋で見つけたときは思わず声をあげそうになった。手の平もしめった。
でも入手したのはそれから2ヶ月後というのだから、我ながら詰めが甘い。
すぐに買わなかったのは、実は「エロイカ」を全部読んでいるわけではない……から。
持っているのは文庫版(秋田文庫)で、冷戦終結寸前までだから、「皇帝円舞曲」までと、コミックで20巻、21巻。あとは知らない。
しかもコミックの方は、少佐が赤の広場に立ってるシーンしか記憶にないよ。
このエッセイについてる目録によれば「ノスフェラトゥ」と「熊猫的迷宮」が収録されているそうだが、何にもおぼえてないよ……。
しかも少佐が大佐になったことは知ってるのに、その決定的瞬間はこの目で確認していない。さらにまた少佐に逆戻りしたことも知っているくせに、やっぱりその経過は読んでいない。
とても「エロイカ」ファンとは言えない怠慢ぶり。
青池保子自身が好きかと問われると、答えは「Ja」だ(なぜドイツ語?)。
でも持っているのは「エロイカ」関連以外だと「修道士ファルコ」「サラディンの日」ぐらい。名作のはずの「イブの息子たち」は理解できなくて30ページぐらいで挫折した。「アルカサル―王城―」は読みたいと思いつつも未踏。
こんな私がなぜ青池保子のエッセイを見ただけで興奮したのか。
なんていうか、イギリス旅行に行ってソールズベリでマグナ・カルタの写本を見たときと同じような感動……マグナ・カルタの内容どうこうというより、「やった肉眼で見れる時期に生きてるぜ」という、歴史の流れに対する一種の敬意のような……言葉にできない。
ぶっちゃけ、「いま買っておかないと絶版になりそうだ!」という焦りがエンジンを踏んだような気もする。冷静に考えればそんなこともないんだろうが。
おそらくは、「青池保子の文章を読みたい」というのもあったと思う。
あれだけの作品を描くマンガ家さんの文章……その知性をどこまで探れるか、という冒険心か?
たかだか本1冊を手にとるまでにやたら複雑な思いが入り乱れているが、最終的にはネット本屋に行って「アナタにオススメ♪」と言ってこの本を表示されたのが決定打となった。
……しっかし、あのネット本屋さんでは青池保子を注文したことないのに、なんでオススメされたんだろうなぁ。私のツボおさえてる? すごいな。
前ふりが長くなったが、この本についてはあまり語ることはない。
「エロイカ」ファンなら読んでみてください、ぐらい。
いや、本気でおもしろい。おもしろいだけじゃなくて、読みやすい。まだ拾い読みしかしていないが、青池保子の文章力に脱帽。
やっぱり日常から何かを表現してる人は違う。
槇村さとるのエッセイ「イマジン・ノート」も、言ってる内容はともかく、やっぱり読みやすかった。
その他にもマンガ家さんのエッセイや講演記録に何冊か目を通しているが、どれも気軽に楽しめるものばかりだったと思う。
これが翻訳者などのエッセイとなると、残念ながらむちゃくちゃにわかりづらかったりするのだ。
翻訳者さんは自分の言葉で自分の文章を書く仕事じゃないんだから、フィールド違いということでしょうがないのかもしれないけど、母国語のはずなのに翻訳に比べると文章の質がずしんと下がるのは何とも不思議。
マンガ家さんはそこいくと、やっぱりあの小さな吹き出しの中に、最小限の言葉で最大限の感情・情報をつめこもうとするわけだから、届きやすい言葉づくりには慣れてるんだろうな。
しかし、このエッセイは笑った。声に出して笑った。眠気で半分朦朧としている真夜中の2時に爆笑させられるとは不覚。おかげで寝る気になれなかったじゃないか。
ネタもさることながら、青池保子の語り口調が私を冷静でいさせてくれなかった。
描きおろしイラストも26点収録されていて、そっちもかなりの萌えどころ。
軍人ヘアの少佐(ロレンスとうりふたご)、若かりし仔熊のミーシャ、部下A(アー)の結婚式で新婦に語りかける少佐、「軍神マルス(少佐)にお仕置きされる老けたクピド(エロイカ)」などを見た時は、保存用にもう1冊買うべきかと血迷いかけたぐらいだ。
ネット本屋だけでなく、青池保子もツボを心得てるな。うぅむ。やられた。
まだ完読していないうちに言うのも何だが、特筆すべき情報を挙げるとすれば、
☆やっぱりエロイカ一味のモデルはレッド・ツェッペリンだった。
☆エロイカの本名、ドリアン・レッド・グローリアは、大方の予想どおり、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』から。
☆「エロイカ」のスタートは私の生年(だからどうした/年ばれる……)。
☆青池保子ってば私の亡き母と同い年だ!(だからどうした2)
☆青池保子は本名。
☆デビューは中3。すごい。なんと水野英子のバックアップがあった。ちなみに掲載紙はりぼん。
☆ドイツ連邦軍人の少佐のビジュアル(長髪)に対する反応はビビりつつ友好的。
☆つか、ドイツの軍事情報誌「Y.(イプシロン)」で「エロイカ」が紹介された折り、エロイカは「もう1人の主人公」と書かれていたそうだが……タイトルからしたら彼こそ主人公なのでは。
☆初期はきらびやかだったエロイカ、いま本誌ではユニクロ・GAP系らしい。……ジェイムズ君の陰謀?
☆青池保子は今後もカラーをCGにするつもりはない。よし。
こんなところ。
記念すべき第1話に出てくるブロンツィーノの絵画「愛の寓話」(「キューピッドの武器を奪うヴィーナス」とも)についての美術講義もあるが、なんとこれがエロイカと少佐の対談形式になってる……。この本のハイライトですな。
肩をふるわせて笑いつつも、私のなり○り熱が猛烈に暴走したのは言うまでもない。
記念に(何の記念よ)ここでエロイカと少佐のな○きり一発芸を披露しようかとも思ったが、ネタがないのでやめておく。
……○りき○一発芸……いつかカテゴリ作るかな。ネタないし「デスノート日記」で読んで死ぬほど笑ったしな。
いつかはじけるかも。 続きを読む
マンガではなく、作者自身の手になるエッセイ。
本屋で見つけたときは思わず声をあげそうになった。手の平もしめった。
でも入手したのはそれから2ヶ月後というのだから、我ながら詰めが甘い。
すぐに買わなかったのは、実は「エロイカ」を全部読んでいるわけではない……から。
持っているのは文庫版(秋田文庫)で、冷戦終結寸前までだから、「皇帝円舞曲」までと、コミックで20巻、21巻。あとは知らない。
しかもコミックの方は、少佐が赤の広場に立ってるシーンしか記憶にないよ。
このエッセイについてる目録によれば「ノスフェラトゥ」と「熊猫的迷宮」が収録されているそうだが、何にもおぼえてないよ……。
しかも少佐が大佐になったことは知ってるのに、その決定的瞬間はこの目で確認していない。さらにまた少佐に逆戻りしたことも知っているくせに、やっぱりその経過は読んでいない。
とても「エロイカ」ファンとは言えない怠慢ぶり。
青池保子自身が好きかと問われると、答えは「Ja」だ(なぜドイツ語?)。
でも持っているのは「エロイカ」関連以外だと「修道士ファルコ」「サラディンの日」ぐらい。名作のはずの「イブの息子たち」は理解できなくて30ページぐらいで挫折した。「アルカサル―王城―」は読みたいと思いつつも未踏。
こんな私がなぜ青池保子のエッセイを見ただけで興奮したのか。
なんていうか、イギリス旅行に行ってソールズベリでマグナ・カルタの写本を見たときと同じような感動……マグナ・カルタの内容どうこうというより、「やった肉眼で見れる時期に生きてるぜ」という、歴史の流れに対する一種の敬意のような……言葉にできない。
ぶっちゃけ、「いま買っておかないと絶版になりそうだ!」という焦りがエンジンを踏んだような気もする。冷静に考えればそんなこともないんだろうが。
おそらくは、「青池保子の文章を読みたい」というのもあったと思う。
あれだけの作品を描くマンガ家さんの文章……その知性をどこまで探れるか、という冒険心か?
たかだか本1冊を手にとるまでにやたら複雑な思いが入り乱れているが、最終的にはネット本屋に行って「アナタにオススメ♪」と言ってこの本を表示されたのが決定打となった。
……しっかし、あのネット本屋さんでは青池保子を注文したことないのに、なんでオススメされたんだろうなぁ。私のツボおさえてる? すごいな。
前ふりが長くなったが、この本についてはあまり語ることはない。
「エロイカ」ファンなら読んでみてください、ぐらい。
いや、本気でおもしろい。おもしろいだけじゃなくて、読みやすい。まだ拾い読みしかしていないが、青池保子の文章力に脱帽。
やっぱり日常から何かを表現してる人は違う。
槇村さとるのエッセイ「イマジン・ノート」も、言ってる内容はともかく、やっぱり読みやすかった。
その他にもマンガ家さんのエッセイや講演記録に何冊か目を通しているが、どれも気軽に楽しめるものばかりだったと思う。
これが翻訳者などのエッセイとなると、残念ながらむちゃくちゃにわかりづらかったりするのだ。
翻訳者さんは自分の言葉で自分の文章を書く仕事じゃないんだから、フィールド違いということでしょうがないのかもしれないけど、母国語のはずなのに翻訳に比べると文章の質がずしんと下がるのは何とも不思議。
マンガ家さんはそこいくと、やっぱりあの小さな吹き出しの中に、最小限の言葉で最大限の感情・情報をつめこもうとするわけだから、届きやすい言葉づくりには慣れてるんだろうな。
しかし、このエッセイは笑った。声に出して笑った。眠気で半分朦朧としている真夜中の2時に爆笑させられるとは不覚。おかげで寝る気になれなかったじゃないか。
ネタもさることながら、青池保子の語り口調が私を冷静でいさせてくれなかった。
描きおろしイラストも26点収録されていて、そっちもかなりの萌えどころ。
軍人ヘアの少佐(ロレンスとうりふたご)、若かりし仔熊のミーシャ、部下A(アー)の結婚式で新婦に語りかける少佐、「軍神マルス(少佐)にお仕置きされる老けたクピド(エロイカ)」などを見た時は、保存用にもう1冊買うべきかと血迷いかけたぐらいだ。
ネット本屋だけでなく、青池保子もツボを心得てるな。うぅむ。やられた。
まだ完読していないうちに言うのも何だが、特筆すべき情報を挙げるとすれば、
☆やっぱりエロイカ一味のモデルはレッド・ツェッペリンだった。
☆エロイカの本名、ドリアン・レッド・グローリアは、大方の予想どおり、オスカー・ワイルドの『ドリアン・グレイの肖像』から。
☆「エロイカ」のスタートは私の生年(だからどうした/年ばれる……)。
☆青池保子ってば私の亡き母と同い年だ!(だからどうした2)
☆青池保子は本名。
☆デビューは中3。すごい。なんと水野英子のバックアップがあった。ちなみに掲載紙はりぼん。
☆ドイツ連邦軍人の少佐のビジュアル(長髪)に対する反応はビビりつつ友好的。
☆つか、ドイツの軍事情報誌「Y.(イプシロン)」で「エロイカ」が紹介された折り、エロイカは「もう1人の主人公」と書かれていたそうだが……タイトルからしたら彼こそ主人公なのでは。
☆初期はきらびやかだったエロイカ、いま本誌ではユニクロ・GAP系らしい。……ジェイムズ君の陰謀?
☆青池保子は今後もカラーをCGにするつもりはない。よし。
こんなところ。
記念すべき第1話に出てくるブロンツィーノの絵画「愛の寓話」(「キューピッドの武器を奪うヴィーナス」とも)についての美術講義もあるが、なんとこれがエロイカと少佐の対談形式になってる……。この本のハイライトですな。
肩をふるわせて笑いつつも、私のなり○り熱が猛烈に暴走したのは言うまでもない。
記念に(何の記念よ)ここでエロイカと少佐のな○きり一発芸を披露しようかとも思ったが、ネタがないのでやめておく。
……○りき○一発芸……いつかカテゴリ作るかな。ネタないし「デスノート日記」で読んで死ぬほど笑ったしな。
いつかはじけるかも。 続きを読む
2005年04月04日
森川久美「危険な席 Siege Perilous」
森川久美、好きです。
特にイタリアものは大好き。
というか少女マンガでイタリアを描かせるならこの人以外に誰がいましょう。
が、ここ数年はあまりイタリアものがなかった。
正確には、コミックがあまり出ていなかった……仕事、あんまりしてないんじゃ。
私の記憶が正しければ、前に出たのは「ジークフリート」(第2次世界大戦前夜のドイツ)、その前が「エリザベート」(ハプスブルグのオーストリア)じゃ?
その前となると一気に「ソフィーの歌」(エカテリーナ2世のロシア)に飛ぶような……いや、間に「ブルボンの封印」(ルイ太陽王のフランス/藤本ひとみ原作さ……)があったかな?
「ジークフリート」って確か大学時代に買った記憶あるから、少なくとも5年は前。
長かったなぁ……。
「危険な席」(なんと眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)は、ファンタジー仕立てになっている。
でも擬似ファンタジーというか、実在した国、歴史を背景につくりあげた感じ。
舞台は「海洋神殿年エメラルディーナ」になっているが、おそらくモデルはヴェネツィア。
巻末にしっかりと地図があり、それによれば、シチリアとロードス島の間の海にかつてあった、ということになるようだ。
エメラルディーナは貿易で食べている街。
統治の要は神殿騎士団長にして高級司祭のセバスティアン。
北欧の騎士アンリ・ベルンは、イスを探しにエメラルディーナへと訪れた。
そのイスこそ、「危険な席」シージ・ペリラス。
アーサー王の円卓でガラハドが座ったイスで、真の騎士しか座れない。
しかもそのイスに座れるほどの騎士はきっとキリストの聖杯を手にし、この世に繁栄をもたらすという。
アンリは王テオドルの命でそのイスを探している。
というわけで、主人公はこのアンリ。
……が、表紙でも中表紙でも巻末でも、あまつさえオビでさえ、セバスティアンの方がやたら目だってる。
セバスティアン、最初の数ページはかなり適当に書かれてるのに、いつの間にか無意味にアップが増えたしなぁ。
しかも森川久美お得意の「見下すような微笑みアングル」が少なくとも2つはあった。
さらにかんじんの「危険な席」を売っている古物商のイサーク(ユダヤ人で錬金術師でもある)も、いい味でてます。
アンリが大衆ウケするならイサークはマニアウケでしょうな。
私はもちろんこの3人の中ではやはりイサークが好き。
ほどよく年くってて頭がよくて料理がうまくて、さらに同性愛者。
キタ! キタキタ!! 森川久美キターーーー!!!
ちなみにお相手はアンリじゃないです。アンリなんて目に入ってない。
結局、タイトルのわりに、「危険な席」はたいした出番もなく、ラストはイサークとセバスティアンのハッピーエンド。
さすがなのは、セバスティアンが「危険な席」に座っただけで島が沈むことだよ。
理由は、神に対して罪を犯したことはない、「あの男を愛したこと以外は――」。
キタキタキタ!!!!! ハイ、行ってよし。
つまりはそういう話。巻末でも2人はラブラブっすよ。
いやいやいや……おつかれ、アンリ。
話の内容はさておいても、森川久美、ちょいと絵柄が変わった様子。
丸みに拍車がかかった気がする。
もとから丸っこい肉感的な絵が魅力だったけど、「危険な席」では「1コマで3キロ増えたか!?」というようなデッサンの狂いに近い変化が。
同時収録にやはり擬似ファンタジーのような「流星の迷宮」があるけど、これ一度読んだだけでは何が何だか……。
それよりエッセイマンガの「ESPRESSOイタリア旅行」がイチオシ。
森川久美のイタリア旅行記ですもの♪ 楽しくないはずない。
つか「危険な席」も「流星の迷宮」もすっ飛ばしてこれから読み始めたよ。
どうも超過密スケジュールだったらしいが、日程がないので、そこはわかりづらい。
ローマから始まり、ティボリに寄って、ナポリへ行き、カプリ、ポンペイ、アッシジ、フィレンツェに移動、キャンティ村を訪れ、ベネツィアへ、で最後にミラノへ着いたらしい。
これで超過密スケジュールというと、1週間ないくらい?
それにしても私が2001年に行ったイタリア旅行とまったく正反対な動きをしているのがおもしろい。私はミラノから始まって最後ローマだった。
が、読んでて、「エスプレッソの豆が日本では売ってない」とあり、んん? と思ったら、なんとこれ1994年の旅行記だった。
10年以上前のイタリアって、日本って、そんな感じだったのね。
たぶん今ほど治安も悪くなかったんだろうなぁ……ローマをリュックで歩くなんて、この恐れ知らずの私でも怖くてできそうにない。
イタリア好きな方は、「危険な席」とかは読まなくても、旅行記だけで一読の価値あり。
イタリア好きでファンタジー好きでBLもいけるなら「危険な席」も楽しめるかも。
ぜひお試しあれ。
特にイタリアものは大好き。
というか少女マンガでイタリアを描かせるならこの人以外に誰がいましょう。
が、ここ数年はあまりイタリアものがなかった。
正確には、コミックがあまり出ていなかった……仕事、あんまりしてないんじゃ。
私の記憶が正しければ、前に出たのは「ジークフリート」(第2次世界大戦前夜のドイツ)、その前が「エリザベート」(ハプスブルグのオーストリア)じゃ?
その前となると一気に「ソフィーの歌」(エカテリーナ2世のロシア)に飛ぶような……いや、間に「ブルボンの封印」(ルイ太陽王のフランス/藤本ひとみ原作さ……)があったかな?
「ジークフリート」って確か大学時代に買った記憶あるから、少なくとも5年は前。
長かったなぁ……。
「危険な席」(なんと眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)は、ファンタジー仕立てになっている。
でも擬似ファンタジーというか、実在した国、歴史を背景につくりあげた感じ。
舞台は「海洋神殿年エメラルディーナ」になっているが、おそらくモデルはヴェネツィア。
巻末にしっかりと地図があり、それによれば、シチリアとロードス島の間の海にかつてあった、ということになるようだ。
エメラルディーナは貿易で食べている街。
統治の要は神殿騎士団長にして高級司祭のセバスティアン。
北欧の騎士アンリ・ベルンは、イスを探しにエメラルディーナへと訪れた。
そのイスこそ、「危険な席」シージ・ペリラス。
アーサー王の円卓でガラハドが座ったイスで、真の騎士しか座れない。
しかもそのイスに座れるほどの騎士はきっとキリストの聖杯を手にし、この世に繁栄をもたらすという。
アンリは王テオドルの命でそのイスを探している。
というわけで、主人公はこのアンリ。
……が、表紙でも中表紙でも巻末でも、あまつさえオビでさえ、セバスティアンの方がやたら目だってる。
セバスティアン、最初の数ページはかなり適当に書かれてるのに、いつの間にか無意味にアップが増えたしなぁ。
しかも森川久美お得意の「見下すような微笑みアングル」が少なくとも2つはあった。
さらにかんじんの「危険な席」を売っている古物商のイサーク(ユダヤ人で錬金術師でもある)も、いい味でてます。
アンリが大衆ウケするならイサークはマニアウケでしょうな。
私はもちろんこの3人の中ではやはりイサークが好き。
ほどよく年くってて頭がよくて料理がうまくて、さらに同性愛者。
キタ! キタキタ!! 森川久美キターーーー!!!
ちなみにお相手はアンリじゃないです。アンリなんて目に入ってない。
結局、タイトルのわりに、「危険な席」はたいした出番もなく、ラストはイサークとセバスティアンのハッピーエンド。
さすがなのは、セバスティアンが「危険な席」に座っただけで島が沈むことだよ。
理由は、神に対して罪を犯したことはない、「あの男を愛したこと以外は――」。
キタキタキタ!!!!! ハイ、行ってよし。
つまりはそういう話。巻末でも2人はラブラブっすよ。
いやいやいや……おつかれ、アンリ。
話の内容はさておいても、森川久美、ちょいと絵柄が変わった様子。
丸みに拍車がかかった気がする。
もとから丸っこい肉感的な絵が魅力だったけど、「危険な席」では「1コマで3キロ増えたか!?」というようなデッサンの狂いに近い変化が。
同時収録にやはり擬似ファンタジーのような「流星の迷宮」があるけど、これ一度読んだだけでは何が何だか……。
それよりエッセイマンガの「ESPRESSOイタリア旅行」がイチオシ。
森川久美のイタリア旅行記ですもの♪ 楽しくないはずない。
つか「危険な席」も「流星の迷宮」もすっ飛ばしてこれから読み始めたよ。
どうも超過密スケジュールだったらしいが、日程がないので、そこはわかりづらい。
ローマから始まり、ティボリに寄って、ナポリへ行き、カプリ、ポンペイ、アッシジ、フィレンツェに移動、キャンティ村を訪れ、ベネツィアへ、で最後にミラノへ着いたらしい。
これで超過密スケジュールというと、1週間ないくらい?
それにしても私が2001年に行ったイタリア旅行とまったく正反対な動きをしているのがおもしろい。私はミラノから始まって最後ローマだった。
が、読んでて、「エスプレッソの豆が日本では売ってない」とあり、んん? と思ったら、なんとこれ1994年の旅行記だった。
10年以上前のイタリアって、日本って、そんな感じだったのね。
たぶん今ほど治安も悪くなかったんだろうなぁ……ローマをリュックで歩くなんて、この恐れ知らずの私でも怖くてできそうにない。
イタリア好きな方は、「危険な席」とかは読まなくても、旅行記だけで一読の価値あり。
イタリア好きでファンタジー好きでBLもいけるなら「危険な席」も楽しめるかも。
ぜひお試しあれ。
森薫「エマ」5巻
昨日、ようやく到着。
ネット買いは便利なようで不便な点もあるねぇ……カードが認証できないお知らせとかに手間をとられると、届くのがそのぶん遅れる。
やっぱりリアル本屋が愛しいよ。なんでつぶれたかな、うちの最寄りの本屋。
まぁ、あの本屋が健在だったとしても、「エマ」は置かなそうだけど。
何はともあれ、「エマ」最新刊。
ネタバレしまくるので、まだお読みでなく楽しみにされている方はどうぞスルーなさって。
前半はウィリアムのダディ、リチャード・ジョーンズとその妻オーレリア・ハートウィックとのラブストーリーにふりあてられている。
つかダディ、名前あったんだな!
んでウィリアムは見事に父親似なんだなー!!
ぶっちゃけ、この作家さんあまり描きわけできてないような気もするけど(特にエレノアとヴィヴィアンとか。社交場に行くとウィリアムが何人もいる……)まあ今回のところは親子だから、であまり深くはつっこまずにおこう。
しかし性格はウィリアムとは真逆だ。かたい。かたすぎる。父親(と、スティーヴンス←妄想)の仕込みがよかったのか……。意外に優しかったりもするんだけど、基盤はがっちがち。
それがなんであのオーレリア(=ミセス・トロロープ=ミセス・ジョーンズ)に惚れたんだかねぇ。
やっぱり人って自分にないものを求めるもの? オーレリア自身もそのパターン?
でもこのエピソードを読んで、ダディがウィリアムの恋路に猛反対な理由がわかったような。
単に世間体から階級差を気にしてるわけじゃないんだろうね。
自分たちが踏んだ轍を踏ませたくない……みたいな?
てっきりエマを応援しまくるかと思ったミセス・トロロープですらいい顔してないのが、かえってリアルで良し。
あんなエピソード出されてミセス・トロロープが諸手を上げてエマの味方になってたら、がっかりしただろうなぁ。
最終的にはナイスフォローを期待したいけど、しばらくは微妙でいてほしい。
そのぶんドロテア奥様におまかせよ♪
んで、そのドロテアが泣いて喜ぶ後半の展開。
エマの情熱、大炸裂!
エマ、あんたからは「地味」の称号奪回よ!! なんつー大胆な!?
でも考えてみればエマって、最初っからものすごい慎み深いわけでもなかった。
メガネを新調してやると言われれば最初は遠慮するものの固辞はしないし、かわりにレースのハンカチおねだりするし。
そんな彼女に愛がめぐってきた今、怖いものなし。
……いや、エレノアとの直接対決とか……怖いけど、エマなら勝つ。
つかもう圧勝なんだが。
ポイントはエレノア父か? あいつさえうまく利用すれば、難なく婚約破棄できそうだ。
でもそうなったらロンドンのサロンから強制退会だろうな、ジョーンズ家。
かわりにグレイスでも差し出せ、ウィリアム!
しっかし今回ほんの数コマしか出なかったエレノア。
残念だけど、告白した時点から運勢急直下だねぇ……相手が悪かった。ファイト。
あと謎なのは、ウィリアムの性格はどこでどうああなったのか。
ダディがあれで、マムはああで、家庭教師と執事がこうで……。
まさに総領息子の甚六って感じだが、反抗期とかなかったんかね。
……やっぱマザコンオチか? そうなのか?
さて、4巻までを一気に買って、すぐに5巻が出たので、すべりだし順調。
が、調べてみたら4巻の発売、去年の6月。
1年に1巻ペース!?
気になるって、続きが!!(バンバン←机たたく音)
でも本誌を買うのはつらいぞ、きっと「エマ」以外に読まないだろうし……。
次が出るまで「エマ ヴィクトリアンガイド」でお茶をにごすかねぇ(涙)。
あ、「ヴィクトリアンガイド」おもしろい。
まだちら見だけどファンにはたまらない作りになってる。
竹本泉との対談まで! うぉぉ。来た! 竹本泉キタ!!
余談だけど勢いで買った「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」には青池保子と大島弓子とおおやちきと樹村みのりの合作マンガが……(この中でまともにわかるのは青池と大島ぐらいだが)。
公式ガイドブック(ファンブック?)、あなどれない。
ネット買いは便利なようで不便な点もあるねぇ……カードが認証できないお知らせとかに手間をとられると、届くのがそのぶん遅れる。
やっぱりリアル本屋が愛しいよ。なんでつぶれたかな、うちの最寄りの本屋。
まぁ、あの本屋が健在だったとしても、「エマ」は置かなそうだけど。
何はともあれ、「エマ」最新刊。
ネタバレしまくるので、まだお読みでなく楽しみにされている方はどうぞスルーなさって。
前半はウィリアムのダディ、リチャード・ジョーンズとその妻オーレリア・ハートウィックとのラブストーリーにふりあてられている。
つかダディ、名前あったんだな!
んでウィリアムは見事に父親似なんだなー!!
ぶっちゃけ、この作家さんあまり描きわけできてないような気もするけど(特にエレノアとヴィヴィアンとか。社交場に行くとウィリアムが何人もいる……)まあ今回のところは親子だから、であまり深くはつっこまずにおこう。
しかし性格はウィリアムとは真逆だ。かたい。かたすぎる。父親(と、スティーヴンス←妄想)の仕込みがよかったのか……。意外に優しかったりもするんだけど、基盤はがっちがち。
それがなんであのオーレリア(=ミセス・トロロープ=ミセス・ジョーンズ)に惚れたんだかねぇ。
やっぱり人って自分にないものを求めるもの? オーレリア自身もそのパターン?
でもこのエピソードを読んで、ダディがウィリアムの恋路に猛反対な理由がわかったような。
単に世間体から階級差を気にしてるわけじゃないんだろうね。
自分たちが踏んだ轍を踏ませたくない……みたいな?
てっきりエマを応援しまくるかと思ったミセス・トロロープですらいい顔してないのが、かえってリアルで良し。
あんなエピソード出されてミセス・トロロープが諸手を上げてエマの味方になってたら、がっかりしただろうなぁ。
最終的にはナイスフォローを期待したいけど、しばらくは微妙でいてほしい。
そのぶんドロテア奥様におまかせよ♪
んで、そのドロテアが泣いて喜ぶ後半の展開。
エマの情熱、大炸裂!
エマ、あんたからは「地味」の称号奪回よ!! なんつー大胆な!?
でも考えてみればエマって、最初っからものすごい慎み深いわけでもなかった。
メガネを新調してやると言われれば最初は遠慮するものの固辞はしないし、かわりにレースのハンカチおねだりするし。
そんな彼女に愛がめぐってきた今、怖いものなし。
……いや、エレノアとの直接対決とか……怖いけど、エマなら勝つ。
つかもう圧勝なんだが。
ポイントはエレノア父か? あいつさえうまく利用すれば、難なく婚約破棄できそうだ。
でもそうなったらロンドンのサロンから強制退会だろうな、ジョーンズ家。
かわりにグレイスでも差し出せ、ウィリアム!
しっかし今回ほんの数コマしか出なかったエレノア。
残念だけど、告白した時点から運勢急直下だねぇ……相手が悪かった。ファイト。
あと謎なのは、ウィリアムの性格はどこでどうああなったのか。
ダディがあれで、マムはああで、家庭教師と執事がこうで……。
まさに総領息子の甚六って感じだが、反抗期とかなかったんかね。
……やっぱマザコンオチか? そうなのか?
さて、4巻までを一気に買って、すぐに5巻が出たので、すべりだし順調。
が、調べてみたら4巻の発売、去年の6月。
1年に1巻ペース!?
気になるって、続きが!!(バンバン←机たたく音)
でも本誌を買うのはつらいぞ、きっと「エマ」以外に読まないだろうし……。
次が出るまで「エマ ヴィクトリアンガイド」でお茶をにごすかねぇ(涙)。
あ、「ヴィクトリアンガイド」おもしろい。
まだちら見だけどファンにはたまらない作りになってる。
竹本泉との対談まで! うぉぉ。来た! 竹本泉キタ!!
余談だけど勢いで買った「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」には青池保子と大島弓子とおおやちきと樹村みのりの合作マンガが……(この中でまともにわかるのは青池と大島ぐらいだが)。
公式ガイドブック(ファンブック?)、あなどれない。