2005年03月27日

ももち麗子「きずな」2巻

デザート掲載。……もう連載は終了してるのかな。
この人の作品が2巻以上いくのって初めてか?

正式タイトルは「きずな-問題提起作品集-」
問題提起シリーズ……実は今のところ私の蔵書ではコンプリート。
結構おもしろいんだ、これが。
文字どおり、現代のさまざまな「問題」をテーマに取り扱ってるんだけど、意外と勉強にもなったり。
ちなみに既刊とそのテーマは以下の通り。
「いたみ」(援助交際/収録作品「ゆがみ」校則「あした」いじめ)
「ひみつ」(レイプ/収録作品「ねがい」HIV)
「めまい」(ドラッグ)
「うわさ」(ストーカー/同時収録「さけび」いじめ)
「なみだ」(セクハラ)
「とびら」(自殺)
「であい」(出会い系サイト/全2巻)

……と、こうまで来たらそろそろネタ切れかな、と思っていた。
そこに出たのがこの「きずな」
しっかり「新しい問題提起シリーズ!」と銘打たれてる……やっぱネタ切れが実情か。
テーマは「家族」になるんだろうか、一応。
でも今までほど一般的な話題ではないので、問題提起シリーズにする必要なかった気が。
「であい」までで十分ももち麗子の名は売れただろうから、単独作品でもやっていけると思うけどなぁ。

「家族」の何が問題なのかというと。
どうやら主人公夏波(かなみ)の家には何か秘密があるらしい。
まず家に脅迫電話と投石。
次に弟の冬馬(とうま)がいきなり刺され手術。
そのとき輸血が必要になったことから、父親の血液型がありえないタイプであることがバレる(というか、冬馬の血液型がありえない)。
ショックで母親が倒れる。昔からショックに堪えられない体質らしい。
さらに脅迫が続き、追跡した祖母がその正体を写メに納めるも、あっさり轢き逃げされ他界。
入院中の冬馬のところにニセ医師が現れ、頭をつぶさに調査される。
いろいろ分析したところどうやら過去の秘密は名古屋にあることを突き止め、夏波は幼なじみのキュー太と名古屋へ乗り出す(一家の現住所は東京)。
そこでわかったことの1つに、昔父親が陶芸家だったという事実があり、専用に使っていった窯を訪れるとなんと人骨が出てきた。
というところで1巻終了。

2巻が出るまでちょっと推理してみた。
まあ、まず夏海と冬馬は間違いなく赤の他人。異母姉弟とかではない。
それにしても3歳年上の夏波が弟の入れ違いに気づかなかったのは不自然だから、夏波は何かの暗示で記憶が混乱している。
最初のページで出てきた子ども=夏海の両親の実の子。
たぶんその子は死んだ。
でも夏波の両親=夏波の実の親とは限らない。
冬馬が気にしている「母親が誤って負わせてしまった腕のヤケド」は、実は「母親がわざと負わせたヤケド」……あの母親は精神を病んでるのかも。
キュー太の親父が黒幕。……かと思ったけど、写メった祖母が「これでアンタの指名手配写真が作れる」と言っていることからこれはない。キュー太の父親なら顔なじみだから今さら写メる必要がない。
キュー太は夏波とくっつく。これは確定(かなりどうでもいい)。

しかし2巻の展開で以上の推理はほとんど覆された……。むなしい闘いだった。
以下、完全なるネタバレ。
結論から言うと、冬馬は「捨て子」だった。
しかもマリア像の下に捨てられていた。
……そうっすか。
でもよくある捨て子ではなく、その実の両親は殺されている。犯人は不明。
現場にいたはずの赤ちゃんが連れ去られていた。それが冬馬(本名は樹/いつき)。
で、どういうわけか犯人は赤ちゃんをマリア像の下に置き去りにした。
それを見つけた夏波の父親が連れ帰って育てた。
なんでそんなことしたかっていうと、2日前に本物の冬馬がマンションの3階から落下、手術の甲斐なく死んだから。
それで母親がおかしくなり、遺体を見ても「この子はまだ生きている」と言い張って育児を続け、葬式もあげさせなかった。
その余波で父親もちょっと正気をなくし、フラフラしていたら捨て子を見つけてしまったので(タイミングよくクリスマスの晩)これは神の恵みとばかりに家に連れていったら母親がみごとに復活。完全に本物の冬馬と信じこみ、現在に至る。
窯の中の骨は本物の冬馬。葬式をあげられなかったので父親が自ら荼毘に伏したわけだが……そのシーンはちょっときた。
ついでに言えば祖母が仏壇に手を合わせろと言っていた理由もわかって、ここもぐっときた。仏壇には本物の冬馬の骨が隠されていたというわけ。
これが過去の全貌。
現在はどうなっているのかというと、祖母が死んだので脅迫のターゲットは父親にスライド。
ついに脅迫の犯人と対面。夏波、ぬかりなく後をつけ、その顔を見てびっくり。
なんと本物の冬馬が死んだときの執刀医だよ……。
この医者がまた用意周到で、脅迫の材料に夏波の家の戸籍謄本まで用意してる。
「自分が手術を担当して冬馬の死亡を確認、死亡証明書まで書いたのに、戸籍上での冬馬は養子ではなく実子のまま」
ということ。
そりゃあな、本物の冬馬は窯で焼いたんだから、当然法律では死体遺棄にあたる。役所に死亡届けなんて出せるはずない。
しかしこの医者、どうやってそこまで突き止めたんだ……。
ちなみに1巻のニセ医者はこの医者。ニセじゃなかったんだな。
脅迫に負けてホイホイ200万さしだす父親。
しかしその晩、なんとこの医者が死亡。父親は参考重要人として警察でカツ丼を食うはめに(そんあシーンはないがきっと食っただろう)。
でもアリバイは完璧なので釈放。
夏波とよく話し合い、あいつ(脅迫してた医者)が死んだんだからもう何も恐れることはない。今までどおりに家族として生活していこう……
とした矢先、また脅迫文が!

ここで2巻終了。
またまた推理。
父親も言っている通り、捨て子の両親を殺したのは夏波の父親じゃない。医者も殺してない。
本物の脅迫者=両方の殺人の主犯。
殺人の動機は痴情のもつれ。殺された母親の愛人で赤ちゃんは自分との間の子とか。
それとも共犯者がいて、仲間割れをして、相手を陥れるために赤ちゃんを捨てた。
赤ちゃんがくるまれていたコートの中に血の指紋のついたガラガラと殺された家族の保険証が入っていたのは偶然にしてはできすぎ。
明らかに誰かが誰かをはめようとしている。
新聞などの報道で「連れ去られた赤ちゃんの腕にはヤケドがある」と世間に知られているので、赤ちゃんを見ればその子があの事件の子だとすぐわかるし。
またそのコートが婦人用であったことから、主犯は女性とも考えられる。
……てことは、案外あの夏波の母親は正気で、主犯?
何も知らないふりをしながらしっかりすべてを知ってるとか。
でもアリバイがありそうだなぁ……祖母がつきっきりだったからな。
やっぱりキュー太の父親?
祖母を脅迫していたのは医者、真の脅迫者が別にいるとしたら、今いるキャラで一番あやしいのはキュー太父と夏波母。

いつ終わるのかな……3巻で終わってくれないと色々ボロが出そうだ。
すでにいくつかやばい兆候が。
いくら「3歳のころはお父さんを100%信じてたから」とはいえ、夏波が弟の入れ替えに気づかなかったのはめちゃくちゃ不自然。
「なんで? どーして?」の時期だろうに。
それにいくら冬馬の死がショックだったとはいえ、夏波を完全にほったらかしにした当時の母親。そういうものなのか?
夏波はそのあたりトラウマにならなかったのか?

次が出るのはおそらく4ヶ月ぐらい先。先が気になる……雑誌を読むかな。
……デザートか……。

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2005年03月26日

山岸涼子「舞姫 テレプシコーラ」7巻

ついに登場、山岸涼子。
(あ、↑は涼子の涼がさんずいだけど、本当はにすい)
本屋に行ったらちょうど昨日新刊が出た模様。
ラッキー。

山岸涼子は大好きなのでデビュー作はじめ、ほとんどの作品を読んでるはず。
といっても私が生まれる前にデビューしてるから、大半は古本。
あえて見落としてるのは「青青の時代」ぐらいだろう……けど、これも近いうちに読むつもり。

「舞姫」は月刊誌ダ・ヴィンチで連載されてるバレエマンガ。
最初はダ・ヴィンチで読んでいたけど、途中からコミック派になった。
だから新刊が出ると思わずバーレッスンしたくなるほど嬉しい。
バレエ観劇とバレエマンガ好きが高じて大人のバレエレッスンを受けたぐらいだからねぇ(長続きしなかったけど)。
「舞姫」の主人公六花(ゆき)は、母親がバレエ教師ということもあり、姉の千花(ちか)ともども幼いころからバレエを習ってきた。
が、六花には体格的に180度開脚できないという弱点がある。
それに比べると千花は技術・骨格の別なく正統派優等生(しかも二重関節だったりする)。
でも踊るのは好きなので、いろいろありながらもバレエの道は捨てず、コンクールに出たり、学校のダンススクールに顔を出したりして、あんた踊り以外の生活どうなってんの? というほど。
この設定からしてすでに「アラベスク」を思い出す。
ノンナも完璧な姉とバレエ教師の母親という家庭環境で育っていた(そういや父親は姿が見えなかった)。
でもノンナはなんだかんだと優れたバレリーナだった。最後は霊感にまで昇華されてたからなぁ……。
その点、六花は技術はさほどでもない。少なくとも今のところは。
ところがだ。
私が連載開始当初から予期していた事態に展開~♪
六花には振り付けの才能がある!
いやいやマジでそうなるんじゃないかと思ってたんだ。ふふふ。私ってば読みが鋭い?(嬉)
今回の新刊では学校祭のダンスクラブの振り付けも成功し、さらにはバレエスクールの発表会で自作の踊りまでこなしちゃったよ。
しかもこの自作の踊りがすごいよ! よく思いつくな~。さすが山岸涼子。
いいぞ~!! いけいけ六花! プリマがダメならコリオグラファーだ!
……と思っていたら気になる発言が。
貝塚バレエスクール本部の富樫先生いわく
「振り付けの才能があると決めるにはまだ早い。彼女は体格の弱点と関係した根本的な問題がある」
なんだ? 根本的な問題……うーん。ダンサーとしての経験? やっぱ技術??
そしたらラストのページで衝撃の!!
マジですか。富樫、あんた……なに企んでる?
このせいで善玉だった桜子ちゃんが何か険悪だよ……。試練だな、六花。
というかこの展開だと千花が苦しい。
ただでさえショックなのにな~。
これも私のカンが当たってしまったのだけど、前に靭帯を切ったときの執刀医、「バレエ」と「バレー」を間違えて処置してしまったことが発覚。
このアホンダラ! ちゃんと確認しろっ!
あんたのおかげで千花のバレエ生命が綱わたりだよ!
で、埼玉バレコンから出没して、さらにネットにカキコしてる(←2ちゃんぽい?)悪どい奴らはどうやら千花のクラスメートの模様(まだ確定してないけど)。
千花、いじめられてんだろうなぁとは思ってたけどね……。どこまで不幸になるんだ。かわいそうに……。
そういえば山岸作品では初期設定で恵まれてるキャラほど後半は悲惨になるんだった。
すると逆パターンで初回から最悪だった空美(くみ)は、いずれ美少女か何かに成長して復帰か?
空美より千花に成功してほしいよ私は……。

そういえばついに「舞姫」でも出たぞ、ストリートダンスが。
待ってました。やっぱバレエマンガにはこういうわき道がないと盛り上がらない。

あと学校祭で最終的に使われた楽曲の出どころも気になる。
「ボンド」とかいうイギリスバンドらしい。
更にシルヴィ・ギエムの略歴にも興味が。
山岸涼子作品はやっぱりすごいな……知りたくなる要素てんこもり。

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2005年03月25日

曽祢まさこ

ようやく本サイトが復活。
あー……よかった。
実は。昨夜再構築に失敗したおかげで今朝11時までトップ絵は消えるわ中には入れないわの状況だった……のはまだしも、なんと!!
トップ絵があったところにカーソルをおくと私の本名がずばり表示されていたそうな。
……あっぶな。
きゅうさんが教えてくれたおかげで迅速に対応できました。
本当にありがとうございました、きゅうさん。
不幸にもあの名前を見ちゃったそこのあなた!(カウンターではおそらく8人ほど)
今すぐ忘れてください。でりーとぷりーず。
ちなみに私のパソからは見れませんでした。ちょっと見たかったかも。

本サイトを更新再開できても、こちらもなるべく書いていきます。
マンガネタなら尽きないはず。

今日は曽祢まさこ。
この人、大好きです。
私は小学生の折り、なかよし派だたったので、この人の作品にふれる機会は多かった。
でもあのころは曽祢まさこより松本洋子に夢中だったのだけど、それでも受けた衝撃の大きさはその後の私の成長にただならぬ影響を及ぼしたに違いない。
「2人めの神話」「7年めの子守唄」「悪魔の十三夜」あたりが子どもごころにスマッシュヒット。
今では「呪いの招待状」シリーズは欠かせない。
それ以外は現在ではほとんど短編と同人誌がフィールドの模様。
そのなかで最近読んだものは、
「赤い闇の烙印」(ぶんか社ホラー)
「怪物少女(モンスター・ガール)」(同上)
「殺す月 KILLING MOON」(講談社ミステリーセレクション)
「迷宮事件簿(ラビリンス・ノート)」(フレンド)
このなかでは「迷宮事件簿」がいちばん古い。昭和62年。
(てかフレンドで描いてとは知らなかった)
あ、タイトルからわかるように、主にホラー作家さん。
この中でも「赤い闇」がたぶんエポックメイキングだったんじゃないかな。
短編集なんだけど、モブを志摩ようこ(作者の妹でかつてなかよしの作家だった)が担当しなくなったのもこの頃。……だと思う。
収録作品6本中、半数が「対人関係から来るゆがみ」をモチーフにしているのは、意図してのことかな?
しかし……復讐を受けたいじめっ子が「ママ~!」と泣き叫びながらおもらししたあたりで、どうも一線を越えた気がする……。
どこへ向かうのだ、曽祢まさこ。
もうかつてのゴシックホラーはないのか。
まあ、このチープさも味だし、なんだかんだ言ってもおもしろいんだけどね。
収録作品の「呪われた月曜日」なんかは傑作だと思う。
やっぱり主人公がいじめられていて、日曜の夜になると「月曜なんか来なきゃいい」と思ってたら……あらびっくり。朝になっても日曜だよ。
いつまでたっても同じ日曜だよ。
そいじゃー日ごろの憂さを晴らしますか。
って話なんだけど、オチはやっぱり……あーあ。
世の中、都合よくいかないねぇ……。
それにしてもこの「いつまでたっても日曜日」な状態を、宇宙からやって来たらしいお役人がプログラム修正するというところがやっぱり一線を越えている……。
しかもお役人の部署は「時司の宮(ときつかさのみや)」だそうだ。……そうか。

at 21:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0) マンガ