2005年03月23日

吉野朔実

では、まずこの人から。
なんでこの人かというと……確か昨日読んだ最初のマンガがこの人のだったから。
それだけで好きな順などではまったくない。
吉野作品は私は「恋愛的瞬間」(マーガレット)が初だった。
あれはおもしろい。恋愛心理学なんていう分野、本当にあるんだろうか。
あるなら今から大学受験しちゃうかもというくらい興味がある。
その後、「ぼくだけが知っている」(マーガレット)を読んですっかりはまった。
この人、心理学を扱わなくてもきっと人間の心理をズバっと切る作品を描くんだろうなぁ、と。
まさに萌えどころは「心」……すごい。

で、昨日読んだのは「記憶の技法」と「透明人間の失踪」(両方ともフラワー)。
「ぼくだけ」の後、確かこの作家さんは連載を持ってないはず。
何か映画評論とかも始めて活動範囲を広げたらしい。
ぽちぽちと短編を描くぐらいになって、その初期の「グールドを聴きながら」は傑作。
「記憶の技法」は2002年だからそう前でもない。
短編作家になってまあまあ安定してきた頃ということになるだろうか。
が、これは長編だったりする……。
でも章で区切っているから感覚は短編に近いかも。
子どもの頃の記憶がどうもあやしい。
普段の意識というか感覚が何かあやしい。
戸籍がいよいよあやしい。
じゃあ調べに行くか、という展開の、いわゆる「自分さがし」もの。

……あ、危ないとこだった。
このブログ、ネタバレを微妙に含みますので、ご注意ください。

えーと……。
ま、そういうわけで主人公の華蓮(かれん)が幼い頃の記憶を取り戻すことでストーリーは終わるわけだが、その「記憶を取り戻す」くだりが逸品。
「子供のころの 自分がどんな顔だったのか どんな姿形だったのか
情報がないので わたし自身は 記憶の中でも 17歳(いま)のままだ」
という理由から、イラスト上でも5歳の自分を17歳の姿で動かしている。
こういう発想はどこから来るんだ……。
で、「ここでか!」というところで子どもの姿になる……ことに今回読んで初めて気づいたよ。
うーん。やられた。
ぐっと来るのはやっぱりラスト。
「この人もまた ずっと孤児だったのだ
そして今もまだ 帰る場所の記憶がないのだ」
……うぉぉおん! こいつ(怜/さとい)の今後はどうなるんだー!!

と、気になるなら「透明人間の失踪」を読むべし。
こちらは短編集だけど収録作品の1つ「霜柱の森」は怜が主人公。
ただし「今後」じゃなくて「過去」の話。
「記憶の技法」でちらっと語られていた彼の過去がわかる。
しっかし「記憶」ではボロクソだった兄貴が意外にもこっちじゃいい奴なんだよな……。
やっぱりメタクソだった父親もこっちではかなりまともな人間。
おかしいのは母親。どっかで見たタイプだ(うんうん)。
この短編集には6つの作品が収録されているが、表題作より、「女子高生殺人日記」のほうが……怖さでは上。
実際に殺す人もそりゃ怖いけど、殺すことばっか考えてる人もかなりのもん。
わずか8ページの超短編「恋愛家族」は笑える。
案外、心理サスペンスよりこういう軽妙な作風の方がこの人の濃さが出るのかも。

あまり読み返さないけどそれだけに余韻を残す作家さん。
……あれ? 「恋愛的瞬間」の最終巻はどこ行った……。
あのラスト好きなのに…(涙)。

at 22:54│Comments(0)TrackBack(0)マンガ 

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