2005年11月20日

記憶力への挑戦状 キャンディキャンディ編4

キャンディが失踪します。
ガンダムには乗っていきません。砂漠にも行きません。
惜しいね。



よりによってパーティー客でにぎわう日にニールたちをボコボコにしてしまったキャンディ。ラガン夫人から「ただではおかない」と宣告されてしまう。馬小屋暮らしより悪い立場など解雇以外にはありえない。ついでに肝心のアンソニーからも「単なるおてんばじゃない暴力娘」という烙印を押されたように思えて、心は沈むばかり。
しかしキャンディは人前ではめったに泣かないという習い性が身についていたため、森(アードレー家所有)の小川(アードレー家所有)のほとりにかかっていたボート(おそらくアードレー家所有)のところまで遠征し、ひとり涙にくれる。そのうち泣きつかれて眠ってしまい、目がさめときにはロープが勝手にはずれて流されていた。それだけでもびっくりだが、どうも不穏な音がする。滝だ! キャンディ最大のピンチである。なすすべもなくボートごと滝に落ちるキャンディ。
暗転。気がつくと、目の前に毛むくじゃらの男のどアップ。肝っ玉が座っているはずのキャンディがなぜかこれだけでもう一度気絶してしまう。そしてしばらくしてまた意識をとりもどすが、また毛むくじゃらのどアップが眼前に迫っていたため、2度めの人事不省に陥りかけるところを、その毛むくじゃらに「そう何度も気絶されてはたまらない」と叩き起こされる(ちなみに1回めの覚醒の直前にキャンディの名を呼ぶ笑顔のアンソニーのカットが入る。いま思えばそれこそ伏線だったのだ)。
ようやく毛むくじゃらの男の全体像が読者にも明らかになる。しかしなんというか、年齢不詳のヒゲもじゃにグラサンときであるという以外のことはわからない(ちなみに私にとってグラサン男の原点はここにある。決してクワトロではない)。名前はアルバートであると知らされる。アルバートさんを観察しているうちにキャンディは怖くなってくる。どうやらそこは小屋か何かのようだが、他に人はいない様子。そこに犬が唐突によってきてキャンディの頬をなめる。

キャンディ「きゃっ!」
アルバート「そいつに感謝するんだね。
          そいつが知らせてくれなかったら、
          僕も気づかないまま、君は河を流されていたよ」
キャンディ(そうか。あたし、滝から落ちて……)
        「あの、ボートは?」
アルバート「ああ、そういえばずいぶん河下に
          粉々になった板がひっかかってたけど」
キャンディ(こなごな……ぞっ

さすがキャンディ。不死身である。

キャンディ「ここはどこなの?」
アルバート「ここ一帯は全部アードレーさんの敷地だよ」
キャンディ(じゃあ、そんなに遠くまで来ちゃったわけじゃないのね。ホッ
        「アルバートさんは、アードレーさんの小屋の管理人さん?」
アルバート「……まあ、そんなところだ」

最初はアルバートさんを「誘拐でもして警察に追われていて森に隠れてるとか」と疑ったキャンディだったが、アルバートさんが常に多数の動物に囲まれているさまを見て「悪い人に動物がこんなになつくわけないもの」と信頼を寄せる。自分の命を救ってくれたという主観的なことより、その人がどれだけ愛されているかという客観的価値を重視するところがキャンディらしい。
謎の多いアルバートさんだが、キャンディは数日にわたり、彼と一緒に森での日々を過ごす。完全に自給自足。肉は食べていたか記憶にない。魚つりはしていた。しかしキャンディは肉体的にはともかく、精神的に充実した時を送る。
アルバートさんはキャンディの事情はほとんど自分からは聞きだそうとしない。ラガン家の馬小屋で寝起きしながら働いていたと聞くと、「こんな小さな女の子が……まだ母親に甘えていたい年ごろだろうに」としみじみしてしまう。相変わらずヒゲもじゃなので表情はよく見えない。何かのはずみでキャンディがアンソニーの名を出したときは、微妙は反応があった。
そんな穏やかな時間も長くは続かず、ある日アルバートさんが地元民か何かに見つかってしまう。もうここにいられないと、森を出ることキャンディに告げるアルバートさん。キャンディもとりあえずラガン家に戻ることにする。アルバートさんは、もしラガン家を出ることになったり、何か助けが必要になったら、手紙をラガン家付近の森の鳥小屋に入れるか、急ぎの場合はビンに入れて河に流すようにと約束させる。
……なんか別れる前にアルバートさんの回想で、「キャンディの瞳がある人を思い出させる」と言って「緑の瞳の……貴婦人」をなつかしく思い描く場面があった気もするのだが、それは執事だったかもしれない。その貴婦人とは、どうやらアンソニーの母らしい。アルバートさんの正体があれでこうで、と考えると、……アンソニー母にホレていたのは、執事か。どうやらアンソニーのアードレー家の血筋は母方らしい。思い出していくと、どこかでつながるもんだなぁ。
さて、そのアンソニーだが、キャンディが失踪したと聞いて、当然ショックを受けている。アンソニーだけでなく、ステアやアーチーも元気がない。

ステア「(湖でボートをこぎながら)
      今まで機械のことしか頭になかったのに、
      女の子1人いなくなっただけで、ほかのことが考えられない。
      こんな気持ちははじめてだ。
      キャンディ……どうしてる?」

アーチー「(バルコニーにもたれて)
        女の子なんて飾りぐらいにしか思っていなかったのに。
        くそっ。このオレとしたことが……!
        プレイボーイのオレが、こんな!」

アンソニー「キャンディらしくない……。
         思わずあんなこと(おてんばも度を超しちゃ云々)
         言ってしまったけど、
         理由もなくニールたちをなぐるはずがない。
         僕がキャンディを追いつめてしまったのか!」

キャンディ、モテモテです。男3人を同時に骨抜きにするとは、「なかよし」でも記録的だろう。やはり上流階級には野性味が刺激的だったということか。ついでに言うなら、このあたりをはじめて読んだときの印象では、3人の中でアーチーが一番うつろになっている気がした。あれ? アニーはどうなるの? と子どもごころにも気になったものだ。アンソニーが3人の中では比較的冷静に考えている様子にも驚いたが、これは後に納得することになる。
その納得の場面。キャンディがラガン家付近に戻ってくると、夜ごとそのあたりをキャンディの足跡を求めてさまよっていたアンソニーと遭遇する。

アンソニー「キャンディ! ……今までどこにいたんだ」
キャンディ「ちょっと森の奥の天国まで(てへっ)
アンソニー「(カッ)ふざけるな!(バシィッ)
キャンディ「……アンソニー!?」
アンソニー「心配したのに……心配したのに、き、君は!」

この場面は子どもの私には本当にショックだった。王子さまがヒロインを殴る……。まずありえない展開である。しかし大人になってみると、「ふざけるな!」は、アンソニー死亡直前のあの名セリフをはるかにしのぐ名セリフだと思う。
退場するアンソニーと入れかえにアーチーとステアが駆けつける。

アーチーとステア「キャンディ、大丈夫かい、ケガはないのかい?」
キャンディ「アーチー! ステア!」
ステア「心配したんだよ。
      アンソニーなんか毎晩君をさがしてたんだ」
アーチー「さっきアンソニーとすれ違ったんだけど、
        あいつキャンディが見つかったってのに、
        なんであんなふくれっつらしてんだろう?」
キャンディ(アンソニーがあたしを……。
         それなのに、あたしったら……)
        「あ、あたし、アンソニーを怒らせちゃったみたい」
ステア「なに言ってるんだ。
      あいつが一番まいってたんだよ。
      君が帰ってきてくれて怒るわけないよ」

時刻は真夜中。ともかくラガン家に戻るキャンディ。翌朝、ニールたちに頭をさげに行く。しかしラガン夫人からは予想どおり解雇を申し渡される。ただしポニーの家への義理もあるので、次の雇い主が見つかるまでは置いてやると意外にも温情をかけられる。
そこへアーチーとステアがやってきてキャンディにプレゼントをする。そういう名目でキャンディの今後の処置を偵察に来たのだが、キャンディは笑いながら泣き出してしまう。そこで2人は顔を見合わせ、「やっぱりクビか……」と肩を落とす。
その晩、キャンディは近いうちにお別れになる森や湖をぶらつき、ここ数ヶ月に起きた出来事に思いをはせる。そこへアンソニーが白馬に乗ってやってくる。やっぱりアンソニーと言ったら白馬よね。しかもこの場面ではアンソニーはマントまでつけている。
あやまろうとするキャンディをさえぎり、アンソニーは乗馬へとキャンディを誘う。このあたりは小学校低学年でもはずかしくなるほどの少女マンガっぷり。会話はほとんどなく、モノローグだけで進む。

キャンディ(風のうねりの間に、あなたの声が聞こえる。
         ──きみがすきだ
         きみがすきだ──)

いまだにこれがキャンディの妄想なのか事実なのか判然としないのだが、山場ではある。
馬から降りたところで「スィートキャンディね、鉢植えにしてみたの。根づくかしら?」とさりげなく切り出すキャンディ。暗に「近々、鉢ごと移動する」ということをにおわせている。アンソニーはアーチーたちから聞いて知っている。見つめあう2人。しかしそれをさらに見つめている2つの目があった。イライザである。カーテンのすきまから一部始終を目撃していたらしい。

「キャンディ!
 どんなことをしてでも、アンソニーに嫌わせてやる!」

ヘンな日本語なのは嫉妬に狂っているせいか、私の記憶ちがいか。「追い出してやる!」というセリフだった気もするが、すでにクビになっているからなぁ。

キャンディが謀られ売られ養女になる編に続く。

at 22:53│Comments(0)TrackBack(0)記憶マンガ 

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