6 Leigh street, Londonズゴッ君ざんげ室 暗中模索編

2006年01月21日

帰途

では、そろそろイギリスネタも最後にしてしまおう。

ヒースロー空港から、日本に向かった日のこと。
そんなに書くことはない。

……せいぜい、飛行機に乗り遅れそうになって、
離陸を30分ぐらい遅らせたってことかなぁ。


いや、空港を走りぬけながら、
「私はとりかえしのつかないことをしてしまったんだ。
 私は飛行機を……止めてしまった」

と、何度、脳内ざんげしたことか。
(この時はズゴッ君を意識するヒマもなかったが、
考えれば今こそ登場のチャンスなのか?)

というわけで、改めてざんげ。
キャセパシフィック航空のみなさん、ごめんなさい。
本当にごめんなさい。

でも漢らしく、
「俺をおいて先に行けぇえ!!」
なんて絶叫するわけにもいかなかったんですよ。
わかってくれるよね? 旅行者なら……。



離陸は夕方6時だった。
というわけで1時半にはフラットを引き払い、ラッセル・スクゥエアからピカディリーラインでヒースロー・ターミナル3まで約1時間。
3時にはチェックイン。
最終搭乗時刻は5時45分。

そうなると、ヒースロー空港では特にすることもなくて、もうさっさと出国審査をすませてしまうことにした。
いつもなら、ターミナル内をぶらぶらするのだが、これこそが1週間の旅行との大きな違いだったのかもしれない。
余韻がない。というとウソになるけれど、振り返らなくていい気分だったのだ。

で、3時半には出国審査もパス。
(長期滞在者は入国審査にように質問を受けることもあると聞いていたが、特別なことは何もなかった。
ちなみにスーツケースの重さも意外なことに重量制限範囲内だったので、それでゴタゴタもせずにすんだ)
いざ足を踏み入れたのは……免税コーナー。

というか、出国審査の向こうには免税コーナーが控えているのは常識。
悲しいけどこれ現実なのよね。
しかし、まだ搭乗時刻まで3時間ぐらいあるわけだし、ここはのんびりしよう。
とりあえず軽い食事をすませて、ここでロンドンから最後の記事を携帯から更新。
それでも、まだ4時半。
余裕じゃないか。
では……。

まっすぐ行けば、免税香水コーナーの核へ行ける。
できるぞ!


……一般に、女の着替えと買い物は、時間がかかるという。
くやしいけど、私は女なんだな。
そしてヒースローの免税コーナーは、香水売り場が拡散していたことも敗因の1つとなった。
(それまで意外にもヒースローの免税コーナーはほとんどうろついたことがなかったのだ。
到着ゲート直前にある免税香水店にはさんざんお世話になっているが、出発ゲートの先はほとんど未知の世界だった)

私の戦いぶりにご興味がおありの奇特な方は、こちらをごらんくださいませ。

そして、時計を見れば、5時40分。
うむ。そろそろ走るべきだろうな。
しかしその途中で、また……。
……。

5時49分。
ダッシュしていたところに急ブレーキ。
あ、あれ? おかしいな、ゲートの方角……間違ってないか?

私「あの、すいません! ゲート53はどちらですか?
   職員、私を導いてくれ!」(←ちなみに最後のリアルガンダム英語セリフ)
職員「53!? まったく逆だよそれ! ここからだとすごい遠いよ」
私「採集搭乗時刻、過ぎちゃいまして……」
職員「それ、やばいよ。急いで!」
私「イヤよ……
職員「しっかりしろ、君は強い女じゃないか!
私「うっ……おぇぇ」(←走りすぎて吐き気)
職員「ゲート53まで走るんだ! 走れるな?
私(よろよろ)
職員「そ、そうだ。いいぞ……ってか、大丈夫かな?」

走っている間、キャセパシフィックから催促のアナウンスまで入る。
ああ、そういえば、はじめてのイギリスひとり旅のときも、同じことしたっけなぁ。
私は遅れゆく運命だったのだ……のかな?

それまでの人生にないほど猛スピード(50メートル10秒台)で走りつづけ、ようやくゲート付近まで来たところで、キャセパシフィック航空の人が出迎えに来ていた。

職員2「あなたで最後のようですが……」
私「すいません! 遅れて迷いました! ごめんなさい!」
職員2「エアチケットを拝見……はい、OKです。
     ではお急ぎになって……
     ……そのガキ、待ちな!
私「は? 何? ここだけZ?」
職員2「遅刻の原因はその香水にあるとみた!
     違うか?

私「なっ、何の権利があってあなた……。
   た、ただの香水じゃない!
   こっちの事情も知らずに決めつけはいけませんよ

職員2「甘ったれるな!
     油断があるから飛行機にも遅刻をする!

私「この香水はチークとネイルがセットになったコフレだとわかったんだ。
   どちらが得か調べようとして……

職員2「貴様は美容部員じゃなかろう。
     なら、搭乗時刻を守るのが先だ。
     そうでなければ、ヒースローから放り出されて、
     今ごろはテムズ川でおぼれていたかもしれんのだ

私「でも、この香水コフレはヒースローでしか買えなかったかもしれないんだ!
職員2「そんなものが今後の生活で何の役に立つ!?
     つべこべつべこべと、なんでごめんなさいと言えんのだ!

私「さっき言ったじゃないですか!」

というわけで、さんざんご迷惑をおかけして、30分ほど遅れて離陸。
いい汗かきました。

離陸するころには、もう窓の外は真っ暗。
緑でいっぱいのロンドンの風景も、目に届くのは、小さなあかりだけ。
そしてあっという間に、深い灰色の雲の上。

日本到着予定時刻は夜8時なので、寝てしまうと時差ボケになる恐れがある。
もともと私はあまり飛行機内では寝ない方なので、ひたすら映画を観ていた。
キャセパシフィックなので、音声は英語でも字幕は中国語。
以下、機内で観た映画をちょっとご紹介。


・NANA
  これはこのブログのメインコンテンツで扱えそうなので、後日記事にする予定。
  とりあえず、予想以上によかった。

・Exocism of Emily Rose
  ホラーかと思ったら法廷もの。
  専門用語が難しくて細かいことは理解できなかったが、
  実話に基づいた作品だということを思うと、この判決はすごすぎる。

・Proof
  グゥイネス・パルトロゥ主演。私にとってはむしろアンソニー・ホプキンス主演。
  アンソニー様が出ているというだけで観たのに、不覚にも泣けた。
  邦題は「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」らしいけど、
  そのまま「プルーフ」の方がいい気がする。
  いろんな意味を含む言葉だし、ストーリーだから。
  とにかくアンソニー様が証明したものの美しさに乾杯。

・Skelton Key
  ホラー? 設定もテンポも、とてもよかった。ゴシックな味わいがあった。
  ラストは、これは……、
  「ローズマリーの赤ちゃん」か「シックス・センス」を狙ったのだとしたら、
  そこだけ惜しい。もしかして原作は松本洋子か、とも思った。


さて、11時間後、香港空港に到着。
ヒースロー離陸が(私のせいで)遅れたため、トランジットの時間が30分ぐらいしかない。
大急ぎで手続きをすまし、こりずに免税店もちょっと通りすがって、今度はしっかり余裕を持って席についた。
余裕は最大限に残す。それが私の主義だ。

しかし、離陸予定時刻をかなり過ぎても、飛行機はウンともスンとも言わない。
どうやらヒースローでの私のように遅れまくっているお客さんがいるらしい。
「あなたの来るのが遅すぎるのよ」
という雰囲気が蔓延する中、アナウンスが。
「お客様が1人、どうしても搭乗できないことになりました。
 つきましてはその方のお荷物を降ろす作業にうつりますので、
 もう少しお待ちください」
なんと……そんなこともあるのか。
キャンセルするのは、お金のある人には簡単だけど、荷物を降ろすとなるとまた迷惑がかかるんだな。
しかしそうなるならそう言ってくれれば、もうちょっと免税店で遊べたのに……ぶつぶつ。
結局1時間ほど遅れて離陸。

香港から成田までは約3時間。
また映画で時間をつぶす。
ひそかに「恋人たち」の上映を期待していたのだが、なかった。残念。


・History of Violence
  最初はサイコものかと思ったが、オチは……ケンシロウか、主人公!
  わりと唐突な展開で、そのわりに期待を裏切るような意外さはない不思議な映画。

・Love Actually
  これは以前、映画館で観た大好きな作品。
  いつ観てもいいねぇ……。ぜひオススメしたい。
  それにしてもやっぱりイギリス英語は聞きとりやすい。
  Proof も、アンソニー様とグゥイネスの会話のくだりは、
  アンソニー様の部分しかわかってないときもあった。


そして、ようやく日本に到着。
ああ……。
とても、なつかしい感じが……。

(以下、この記事にループ)


それにしても、イギリスって遠い。
遠いようで、今は近く感じる。
どこでもドアなんて、現実になくてよかったと思っている。
求めるもののために疲れたり努力したりすることが、とうといのだと信じている。

人間が、そんなに便利になれるわけ……ない。

最後の最後で、そう実感した。
いろんな意味で。

走りながら。

at 16:08│Comments(4)TrackBack(0) イギリスから 

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この記事へのコメント

1. Posted by 館主@毒入り   2006年01月31日 09:55
ひのきさん、お久しぶりです。お帰りになったそうで、お疲れさまでした。私も海外の空港で大人としてあるまじき迷惑をかけたことがあります(笑)。これから思い存分マンガをご堪能ください。エマの新巻はもう読まれましたか?
2. Posted by ひのき   2006年02月01日 17:05
館主さん>
お久しぶりです、館主さん!
ただいまです。ちゃんと帰ってこれました。
おお、館主さんも似たような体験を…まったくもって反省の嵐です…。
でも、館主さんのそのあたりのお話もじっくり伺いたいです(笑)
マンガはもう死ぬほど読みまくっています。たった半年でこんなにたまるんだなぁとあきれるほどです。
「エマ」も、もちろん読みましたよ!
ま、まさか本当にアメリカが出てくるとは…やるな、半年前の私!
「エマ」レビューも近々アップしたいと思っています。
その折りにはTBさせてくださいね。
これからは同じ日本在住者としても、どうぞよろしくお願いいたします!
3. Posted by 館主@毒入り   2006年02月03日 09:27
>でも、館主さんのそのあたりのお話もじっくり伺いたいです(笑)
私も乗り遅れそうになったのを無理やりねじ込んだんですよ。やはりヒースローで;;「こんな大人で良いのだろうか」とかなり自分に危機感を抱きましたね(笑)。
マンガを読みまくるとは去年の10月に帰国した時の私と同じですね。ちまちまとしか進まない連載物を一気に読めるというのは、ある意味うれしいことです。
エマ>ひのきさんの予想は当たるなぁと思ってましたv是非とも拙ブログにTBしてくださいませ。レビューを読むのが楽しみです。
こちらこそよろしくお願いします。執筆は一区切りしましたか?まだ執筆中なら頑張ってください。
4. Posted by ひのき   2006年02月03日 19:32
館主さん>
やってしまわれたのですね…(笑)ヒースロー、なにげに鬼門だったりするんでしょうか。
館主さんはまだ大丈夫です! だって1回だけでしょう?
私は今回で2回めでしたから…ばか。
本当に、今はマンガにうずもれてるって感じです。
もともと連載はリアルタイムでは読んでいかない方なのでコミックになるのをじっと待っているのですが、そのコミックがたまっていると幸せです♪
嬉しさのあまり間違えて2冊買ってしまったものもあります…。
エマ、次がどうなるかが気になりますね!
前はああいう予測をしましたが、作者さんは相当なイギリスフェチですし、エマがああなったとしてもアメリカまで実際に行ってしまうことはなかな、とも思っています。
そのあたりもレビューにガシガシ書いてみますね。
執筆…くぅ。編集さんから呼び出しがかかってしまいました。
一度しかお会いしてない編集さんなので、リアルに打ちあわせなんて胃に穴があきそうです(笑)
ご声援、ありがとうございます! がんばります。

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