2009年08月04日

山岸涼子「舞姫―テレプシコーラ」第2部第18回

はい、毎回毎回新しいダ・ヴィンチ発売直前に感想をアップする、怠け者な管理人です。
00に夢中なんですとか言い訳になりませんよね。
でも、夢中なんです。00愛なんです。厨なんです。
(しかし00関連の記事もアップしないというところが意味不明)

さて、前置きはこのへんにして、熱くなってきたローザンヌ編。
以下、ネタバレありの感想。




風邪のせいで、もはや踊ることも不可能な六花。
そこに26番のローラ・チャンが進み出て、六花の振り付け通りにジゼルのコンテを踊る。
アメリカ国籍のはずなのに、何故か日本語が通じるローラ。
それにも気づかず、自分の理想通りに難易度の高そうな振り付けを踊り切るローラを見て感嘆する六花。
その後、六花はほとんど朦朧とした状態のままホテルに帰還。
来年もあるんだから、という菅野先生のアドバイスも振り切って、翌日の準決戦に出場する決意をする六花。
何故なら、ローザンヌ再挑戦の可能性はいくらあっても、六花はこれっきりと思っているから。
理由は、金銭問題。篠原家は故・千花のために多額の借金を抱え込んでいて、相当な火の車。それをちゃんと六花は知っている。
故に、六花にとってローザンヌは今回限り。
ということを、すべては語らないけれど、菅野先生に向かって「ローザンヌに出た痕跡をどうしても残したい」と訴える六花。
そこにまさかの茜の援護が。
「わたしなら舞台で倒れてでも
 今日踊る!」
「先生
 六花ちゃんに注射でもなんでも打って
 躍らせてやってください」
2人の情熱に押され、ついに首を縦に振る菅野先生。
いよいよローザンヌ準決戦の幕が上がる。

という内容だが、いろいろと見所が多い回だったと思う。
まず、ローラが六花の振り付けを踊ったということ。
ローラ=空美だとしたら、
「空美が六花の振り付けで踊る」
というのはかなり以前から語られてきた予想だけど、今回、意外な形でそれが現実になったということに。
それにしてもこれ、六花だったら、万全の体調でも踊りきれていたのかなぁ。
「自分の踊れないものを振り付けることの無茶ぶり」というようなことについては、すでに富樫先生が語っていたと思うけど、六花はそのあたりをどう受けとめているのか。
というか、第1部ラスト以降、六花って振り付けにどれくらい関わってきたのかな?
何となく今回の様子を見る限り、それなりのことはしてきたような気はするけど……今回、自分の限界を超える振り付けをしてしまっていたとしたら、まだまだなっていないということになってしまうんだろうな。
(というか、あの体調を自覚しておきながらかなり高度な様子の振り付けをしてしまった時点で、へばってしまって「情けない」とか泣いているのは甘いなあと思わずにいられない)
六花の振り付け→空美が踊る、という流れは話としてはおもしろかったけど、ローザンヌの審査としてはどうなのかも気になる。
これはコンテの審査。振り付けの審査ではなく、「本人が踊るコンテの審査」では?
だとしたら、これは反則では?
ケント君(だっけ?)と踊ったボレロは、あれは2人だからまだいいとして、今回は違う。
そこのところはどうなるのだろう。審査対象外にならないのだろうか?
そして、肝心の「恋の不安」は表現しきれていたのか?
六花は「マイムではなく、パで」とこだわっていたけれど、バレエに詳しくない読者には、「次にシソンヌ…」「カトル!」などと言われても、その一連の動きが「恋の不安」を表現しているかどうか、皆目見当がつかない。
絵があっても、やっぱり分からない。
何となく予想がつくのは、登場シーンは表情を隠している(不安からの逃避?)とか、ラストで「巻きつけた腕はのばす」(不安から身を守る?)「うしろむいて、ひじ張る」(不安を振り切る、あるいは受け入れる?)とか、やっぱりマイムのシーンになってしまう。
そのあたりの限界を、作者はどう捌いていくつもりなんだろう。今後の課題ということなのか、そこはスルーすべきなのか。
そして「望みどおりの動きができた!」って、本来は六花ちゃん、あなたがやるべきことですからね!
展開としては本当によかったけど、六花の意識にはどうも首を傾げざるを得なかった今回。
六花はやっぱりロイヤルなどより、ルードラに留学するという流れかなあ……。
ローザンヌ準決戦で落ちてフォロー合宿のとき、N氏の手回しでルードラの教授が六花を観察に来て、改めて(?)勧誘……とか。
ローラは最低でもスカラシップを取るだろうし(ゴールドメダルが茜ではなくローラかどうかは微妙)、また2人の道は遠く長く離れてしまう……という感じかな。
となると、この連載、一体何年続くんだろう。
それにしてもローラが六花のジゼルを踊った後のN氏の表情がちょっと厳しかったので、それが気にかかる。
六花はすでにケント君とボレロを2人で踊って、N氏からコメントをもらえなかったこともあるし、印象に残ってはいるんだろうけど……果たして吉と出るか凶と出るか。

六花の夢の中で、千花ちゃんが六花の振り付けを踊る、というのは千花ファンにとっては感涙ものだろうなあ。
で、ここで六花もローラに日本語が通じる不思議に気がつく。
が、どうもこの2人は相性が悪いのか、単に六花のタイミングが悪いのか、もっとシンプルに作者の陰謀なのか(たぶん3つ目)、うとうとしてしまって深く考えられない六花。
まあ、ローラが空美である可能性は98%ぐらいだろう。限りなく100%に近いけど、一応疑念の余地は残しておきたい。
というか、ローラが空美でないななら、一体何なの?という感はある。
ローラが完全に他人なら、それこそ100%納得できる説明を要求したい。
数々の思わせぶりな回想場面や設定について、逐一みっちりと解説してほしい。
まあ、ローラが空美でないとしても、今後この2人は切っても切れない関係にはなっていくんだろう。
考えてみれば、ローラが空美であるという方がさすがにドラマティックすぎるようにも思えるし。
ローラが新キャラでも受け入れられないということはないかな……でも伏線は綺麗に回収してほしい。
でないと今回の六花の振り付け同様、ご都合主義なだけの物語に陥ってしまいそうで、テレプシファンとしてはそれは悲しすぎるので。
頼みます。山岸先生。

さて、最後の見せ場はやはり茜ちゃんの力説でしょう!
まさかの茜ちゃんの援護。
これは予想できなかったわあ。
相変わらず手抜きの顔でも、なんてカッコいいんだ、茜ちゃん!
(だからと言って嬉し泣きする六花の涙まで手を抜かなくてもいいと思うが。せっかくいい場面なんだから)
そしてちょっとツンデレ気味なのは、時代の流れだろうか。
昔は「ちょっとエロい子」だったのが、今はちょっとツンデレな子。
うーん、ツンデレ娘の過去がエロい子という設定は萌えますね。
というのはいいとして、やっぱり六花の気持ちが分かるのは同じダンサーである茜なのね、と嬉しくなってしまったじゃないか。
……でも菅野先生も一応ダンサーのはずだよなあ……菅野先生は大人の目線だから仕方ないか。
ローラにしろ茜にしろ、最後に頼みになるのは今を一緒に踊っている人々。
ということに、六花はちゃんと気づいているだろうか?
毎回思うのだけれど、きちんと千花を卒業してほしい。
「ひとみちゃんとも千花とも違うバレリーナになりたい」というようなセリフを言っていたことだし、自分の意思がちゃんとあることも表現されてはいるけれど、まだまだ六花は千花に依存している傾向にある気がして、そこがもどかしい。
気持ちが何となく分からなくもないだけに、もやもやしてしまう。
ローザンヌ編終了の頃には、千花の手を、本当の意味で離せているといいな。
ダンサーとしての自立にはまだちょっと早いとしても、六花が真にローザンヌで得るものが、そうしたものだといいと思う。

次回はいよいよ準決戦。
六花がどこまで進めるかに注目、ですね。



at 22:34│Comments(2)TrackBack(0)マンガ 

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この記事へのコメント

1. Posted by まふ茶   2009年08月18日 00:32
私、この号だけ読み損ねちゃったんですよ。
ひのきさんの説明でよくわかりました。
ありがとうございます。
いろんなことがあったんですね!
単行本で読むのが楽しみです。
六花ちゃんは力があるのに、それが出し切れない。悔しいです。
千花ちゃんも、お空でイライラしていることでしょうね。
2. Posted by ひのき   2009年08月20日 21:33
>まふ茶さん
こちらでは、お久しぶりです。
このHNも何だかなつかしい(笑)
この回は熱かったですよ!
読み逃してしまったなんて、本当にもったいない。
私が書き逃している部分は、コミック発売まで妄想で補って下さい。
六花ちゃんの実力…貝塚先生が言っていた、六花のピークと決戦がぶつかれば…というセリフがありましたが、どうも危ない感じですね。
千花ちゃん、ちゃんと成仏できてるでしょうか。ハラハラ…。

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